2011年7月30日(土)に高峰山で第5回自然体験入門講座を開催しました。
4月に行った第4回の入門講座は室内で山の歩き方や持ち物などの登山における基本講座を行いましたが、今回、初めての室外実践講座です。
高峰山を登りながら、歩き方、注意点、高山植物の見分け方などテーマに開催しました。
講師 山口章 氏 |
講師 小林政明 氏 |
08:45 |
高峰高原ビジターセンター集合 |
08:50~09:00 | 挨拶、講師紹介 |
09:00~09:10 | オリエンテーション |
09:10~09:20 | 準備体操 |
09:20~09:25 | 班分け、装備確認 |
09:25 | 登山開始 |
09:45~09:55 | 休憩 |
09:55~10:20 | 班の交替、登山 |
10:20~10:40 | 休憩 |
10:40~11:15 | 班の交替、登山 |
11:15~11:50 | 班の交替、登山 |
11:50 | 山頂到着 |
11:50~12:30 | 昼食 |
12:30~13:00 | 班の交替、下山 |
13:00~13:50 | 班の交替、下山 |
13:50 | 高峰高原ビジターセンター到着 |
13:50~14:00 | 休憩 |
14:05~14:10 | 挨拶、解散、アンケート記入 |
登山案内板の前に移動し、体操を行いました。安全な登山のためには、すぐに歩き始めずに、必ずストレッチをして体をほぐすことが大切です。
その後、班分けを行いました。その場で講師は現地の地形を説明。
「参加者の皆さんが立っている場所は群馬県と長野県の県境です。道路を挟んで、日本の中央分水嶺になっています。片側の流れは日本海で、片側は太平洋に流れています。」それから浅間、烏帽子火山群の話も紹介しました。
登山の前に必ずストレッチを! |
皆さんは真剣にやっていますね! |
山口講師は登山時の歩き方、装備、天気の話、火山帯の変化などを中心に解説。
高い山に登ると100mで気温がおよそ0.6度下がり、気圧も低くなり、酸素も薄くなります。個人差もありますが、標高2000mの山でも高山病にかかることもあるとのこと。それから、最初の30分間はゆっくり登り、徐々に体を慣らしていくことも重要です。
基本的には登りも下りも「小またでゆっくり」歩くこと、軸足から腰、背筋をまっすぐ伸ばした姿勢で、靴のソール全体が地面に接地するように、狭い歩幅で足を踏み出します。悪い例は、後ろ足のかかとが上がってしまうほど、歩幅が大きくなる歩き方です。この場合は滑って転んでしまうことがあります。常に、靴のソール全体に自分の体重をのせるように歩くこと。
特に、事故の大半は下山中に生じているので、焦らずゆっくり下ることがとても大切です。それから、急変する山の天気や、雷について解説し、火山の変遷についても解説しました。
これから登りましょう |
山口講師の話に夢中 |
高峰山の特徴は… |
小林講師は歩きながら花の紹介、高山植物の見分け方、名前の由来などについて楽しく解説。約50種類のお花を紹介しました。
例えば、イチヤクソウ、シャクナゲ、オオカメノキ、シュウロソウ、クルマユリ等の植物について、イチヤクソウは4種類があります、葉っぱと花をよく見ると種類が分かります。シャクナゲではアズマシャクナゲとハクサンシャクナゲ、非常に似ていますが、開花時期と葉っぱから見分がつきます。クルマユリは茎に輪生する葉が車輪状になっているので、クルマユリという名前になった、などを説明しました。
参加者の方々も質問しながら興味深く聞きました。その他、高山蝶のミヤマシロチョウやミヤマモンキチョウ、雷の注意や予防方法等を説明しました。
オオカメノキの芽はこんな形です! |
可愛いお花を発見! |
ヒカリゴケ 倒木下でヒカリゴケを発見。参加者の方々がみんな声を上げて喜びました。
ヒカリゴケは貴重なコケ植物で、洞窟のような暗い場所に生息しています。
ヒカリゴケ自体では発光するのではなく、光を反射して綺麗なキラキラの緑になります。
ヒカリゴケは環境の変化に敏感で、今、全国的に減少しつつあります。
大部分のヒカリゴケは国立公園内にあり、地域によっては天然記念物に指定されています。
途中雨が降り始めました
鮮やかなレインウェアで綺麗ですね 山登りの基本装備とその保管方法
山口講師がウェア、靴、ザックの選び方について説明しました。
山では気温や天候の変化が激しいため、機能性が高いものを選ぶことが大事です。アンダーウェアは汗を吸収、発散する機能が優れたものがおすすめです。厚着より薄着を何枚かに重ねて着た方が良く、脱ぎ着し易いものがよいでしょう。
靴は登山専用靴が安全性が高いです。
ザックはいろいろな機能が付いているもの。特に各所を締める紐が付いているバック。それから、背のあたる部分の柔らかさと安定性が優れたものは、背中に負担がかかりにくいです。
ウェアや靴の保管については、使ったら日に当らない場所できちんと乾すことが大事です。カビや湿気はウェアや靴が早く駄目になる原因です。
小林講師の長年の経験から、高峰高原の天気を判断する方法を解説。
(1) 根子岳方面に夕立が見えると、30から40分ぐらいで高峰山にやってくる。
(2) 浅間方面の夕立雲がやってくると雷、雨とも激しい。
(3) 立科山の裾野の雲が西に行けば雨が降る。
(4) 立科山、富士山、八ヶ岳などにかさ雲がかかると、一両日中に雨になる。
(5) 烏帽子岳と美ケ原の雲が一緒になると、はげしい雨、または雷雨。
(6) 山で気温が急上昇、または急に下がると雨になることが多い。
経験者の知恵 |
雷に打たれて枯れた木と 落雷でできた穴 |
枝下から2M以上離れると 安全といわれている |
写真の木は2~3年前に雷に打たれ、枯れた状態です。近くで見ると皮が剥れています。また地表には穴もあります。
山ではよく雷が発生しますので、その注意点についても解説。安全面から考えると、ラジオを持つことも重要です。常にラジオから雷のノイズ情報を確認することができます。後は落雷感知器の利用です。雷を避ける方法は大石の穴、洞窟、くぼ地、斜面の低い所等に避難、身体を折り曲げ、両足をかかえ小さくなります。木の下に避難しないでください。もし避難する場合は樹幹から2m以上離れ、木の頂点を仰んで見ると45°程度の場所にいることが大切です。
雨に濡れることも身を守る一つの方法です。雨に濡れた状態だと電流が体の表面から地表に抜け、心臓を通らないのです。火傷を起こす可能性が高いが、死に至ることは少ないと言われています。また横から来る雷もあるから、それも注意しなければなりません。
山頂に着く頃には、天気が晴れ、小諸の全景、八ヶ岳連峰もはっきり見ることができました。食事をしながら、山頂の風景をゆっくり楽しみました。
山頂で皆さまの笑顔を記録しました